Yuriです。
ローマ大会準々決勝 錦織 VS ジョコビッチ
フルセットの3時間に及ぶ試合でした。
スコアはジョコビッチから見て、2-6, 6-1, 6-3
凄い試合でした。
眠気なんか試合が始まった途端、一瞬のうちに吹き飛びました。
こんなレベルの高い試合を見たのはいつ以来でしょうか。スコアからは全く想像ができないようなわずかな差、どちらが勝ってもおかしくない素晴らしい試合でした。
スーパーハイレベルなショットの応酬、レベルの近いプレースタイルが似ているTOP選手同士が己の持てるポテンシャルを最大限に発揮すると、こんな試合になるのかという驚きの連続でした。
錦織が勝つチャンスも十二分にあったと思います。
とてつもないハイレベルな試合
これまで、BIG4やバブリンカがマスターズやグランドスラムでとんでもない高いレベルの試合をするのをいくつも見てきました。
それらと全く遜色ないTOP選手同士の素晴らしい試合でした。
というか、同じタイプ(ジョコビッチと錦織)の選手同士のこんな戦いはあまり見たことがない気がします。
BIG4は全員タイプが違いますし、バブリンカ、デルポトロもまた違うタイプです。
その前の世代もアガシとサンプラスとかの盾と矛的な戦い(錦織とラオニッチとか)はよくありますが・・・。
以下は2年前くらいのTOP10選手の特徴(若手はとりあえず外しておきますw)
- ナダルはレフティのスピンボールが得意なクレーキング
- フェデラーは片手バックハンドのスーパースピーディなオールマイティ
- ジョコビッチは両手バックハンドの守備型鉄壁タイプ
- マレーは粘りが持ち味の守備的カウンターパンチャータイプ
- バブリンカは片手バックハンドの名手
- デルポトロは大砲のようなフォアを武器にした破壊的なパワータイプ
- 錦織は両手バックハンドの攻撃型タイプ
この中では錦織とジョコビッチだけが、両手バックハンドでバックハンドが世界屈指という、同じようなプレースタイルを持っていると思います。
(書いてませんがチリッチとデルポも近いですが、球筋は全然違う。)
錦織の上位互換がジョコビッチと言われるのがよくわかります。
だからこそ、この二人が戦うと二人のプレーレベルが一段も二段も上がってしまうのかもしれません。
今まで、錦織ファンはうっすらと分かっていたこの事実を、初めてジョコビッチ本人の口から引き出したのが稲垣康介さんのこちらの記事でした。
以下ジョコビッチ談を一部抜粋
「ケイ(錦織)のプレーは速い。相手に時間の猶予を与えない。だから、こっちも集中力が高まる。反応しなきゃいけないから」。納得の答えに思えた。続きがある。「僕らのプレースタイルは似ているから」
ジョコビッチが錦織戦に限って(正確にはBIG4と相対した時も同様)、プレーの質が上がる理由が語られていました。
プレースタイルが似ていることはもちろんですが、錦織の速さがジョコビッチの集中力を高めるというのは初めて知りました。
他の選手なら錦織のスピードについていけなくなって敗退してしまう事が多い中、ジョコビッチはそのスピードに対応していく過程で自分の集中力を高め、試合中に対応していくことで更に自分のプレーの質をあげることができるんです。
そんなことができるからこそ、ジョコビッチは絶対王者だったわけです。
そんなジョコビッチに肉薄し、もう少しで勝てるとこまでいってしまえる錦織は、やはり世界屈指のTOPプレーヤーであると証明する試合だったと思います。
海外の反応
ブラッド・ギルバーさんのツイートと日本語訳
Watching Djoker vs special K in Rome did not realize Djoker won last 11 after losing semis 2014 @usopen
— Brad Gilbert (@bgtennisnation) 2018年5月18日
「ローマ大会のジョーカー(ジョコのこと)とスペシャルK(錦織の事)の試合を見てるけど、ジョコビッチが2014の全米のSFで負けた後、11連勝してるなんて気づかなかった。」
(それくらい錦織のプレーが凄いという意味だと思います。)
ローマ大会の公式HPの記事のジョコビッチの言葉
“The quality of tennis was really high. I mean, Kei was playing fantastic, especially in the first set; very quick and took me little bit of time to adjust to his pace. Which was very, very quick, as I said,” revealed Djokovic.
「テニスの(レベルと)質は本当に高かった。ケイはファンタスティックなプレーをしていたよ、特に第1セットは。すごく速くて彼のペースに対応するのに少し時間がかかってしまった。」
“But, you know, I’m really happy that I mentally stayed strong. And in the ending of the third set, you know, really fought and showed some resilience. And this victory means a lot to me on different levels, mostly mental.”
「でも自分がメンタル的に強くいられたことが本当に嬉しい。第3セットの終わりで本当に戦って粘り強さを見せれたことが良かった。この勝利は違うレベルで自分にとってものすごく意味のあることだ。特にメンタル部分で。」
ATP公式サイトの記事の錦織の言葉
“I think I played great tennis in the first set, playing aggressive,” said Nishikori. “I think he started to change his tactics [in the second set], and he was playing much better than [in the] first [set].”
「第1セットは自分は攻撃的ですごく良いテニスをしていたと思う。第2セットに入ってジョコビッチは戦略を変え始めたと思う。第1セットよりはるかに良いプレーをしていたよ。」
“The third set was close, but I think he played a little better than me,” admitted Nishikori.
「第3セットは凄く接戦だった。でもジョコビッチの方が少しだけ自分よりいいプレーをしたんだと思う。と錦織は認めた。」
書きたいことが多過ぎるので、記事を分けようと思っています。
Yuriでした。
追記:
続きを書きました。
コメント
復活組の中で、錦織、ジョコビッチ両選手のこの短期間での急激な復調ぶりが強烈に印象付けられた試合及び大会でした。上位陣は戦々恐々としていることでしょう。一方世界中のテニスファンにとっては待ちに待った瞬間でした。
この試合によってお互いがテニスのレベルを引き上げられ、同時に自分は再度トップとしてやれるという自信、更に上のレベルでの勝利への渇望を再確認したのではないでしょうか。
鼻血ブログにも書きましたが、錦織選手にとってこの敗戦での相当な悔しさは、相手への苦手意識をも上回る強烈な勝利へのモチベーションになったのではと思います。ジョコビッチ選手が大きな大会で優勝して更なる自信を手に入れ手がつけられなくなる前に、錦織選手にはジョコビッチ選手を叩いておいてほしい、または他で潰しあってもらった中で、MSやGS優勝をさらってほしいです。もう相手の背中に手が届きそうな位置まで来ていると思います。期待したいです。(あれ?手首の不安はどこに行った?)
いや、肩ぐらいは掴みましたかね。振り切られたというところかな?
釣りで言ったら、釣り上げようとしたら糸が切れたみたいな。そうしたら前の惜しすぎる2016年ローマは、釣り上げて網に入れようとしたら逃げられたってとこかな。。。何か悔しくなってきたぞ。
手首はまだ心配なんですが、あの試合を見る限りは心配なさそうでしたよね。
肩はつかんだでしょうw間違いなく。
またみんなが強くなって戻ってきたら面白くなりますね。
全仏、期待したいです。
ジョコビッチ選手と錦織選手はジョコビッチ選手が少し守備的で錦織選手の方が攻撃的なプレイスタイルであるという部分での違いはあるものの、基本的には似ているのは確かだと思います。
ジョコビッチ選手の方が身長あり手足も長いこと、加えてゴム人間と呼ばれるほどの関節の柔軟さがあることが脅威的な守備力と守備が瞬時に攻撃に変わるスタイルを可能にしてると思います。
錦織選手は身体的に不利な部分(身長も手足の長さも不足)を天才的閃きで補って「俊敏さと立体空間を最大限活かすテニス」を展開し、相手を翻弄することに長けていると思います。
それでも「ジョコビッチは錦織の上位互換」と言われてしまうくらい両者は似ている部分、共通するスタイルがあるわけで、上位が錦織圭ならばともかく、ジョコビッチの方である以上は真正面からぶつかるのは避けた方がいいのではないか?と、2016年ごろから思うようになりました。
ジョコビッチ選手が負ける時は相手がビッグサーバーやパワーヒッターであるか、ミス誘発テニスを強いられた時ではないでしょうか?
もちろん錦織選手にビッグサーブはなく、小柄で華奢な彼にパワーヒッターになれというのは無理なので、できることはジョコビッチ選手のミス誘発だと思うんです。でもそれは錦織圭らしいテニスを封印することになってしまい、
彼の良さも発揮できない可能性もあるかと思います。
それでも、「ここまで負け続けて、苦手意識もそれなりにある」という現状では「まずはジョコビッチ選手に勝つこと」が今は必要かもしれません。
他の選手相手には錦織選手らしいテニスを磨いていくのがよいと思いますが、
ジョコビッチ選手にだけはとにかく負け続けることからの脱却が必要な気がするのです。私の考えは間違っているかもしれませんが・・・。
(ミス誘発を狙っても勝てるとは限りませんし、ね。)
風さん、
全盛期のジョコビッチは負けなかったんですよw。
彼を負かせたのは、ゾーンに入ったフェデラーとナダル(マレーは彼にほとんど勝てないので)くらいでした。あと、全米での錦織。
去年からの彼の負けは評価には入れられないと思います。全盛期前(覚醒した2011年以前)でも、常にNo.3でしたからね。
錦織がジョコビッチに勝つには、今回の第1セットのように攻撃的でありながらミスもしないという、まるでフェデラーかというプレーが必要になると思います。そうでなければ彼の鉄壁に守備は崩せません。更にジョコビッチは攻守一体なので守ったショットが攻撃のショットにもなりえます。本当に隙が無いんですよ。
あるいはたまたま調子を落としている時に当たるかですね。
錦織には、何とか突破口を見つけてまずは連勝を止めてもらいたいと私も思っています。
>「全盛期のジョコビッチは負けなかったんですよw。」
って、そうですね。それはもちろんよく承知しております。
「ジョコロボ状態ではなく人間らしくなってからのジョコビッチ選手」という但し書きが要ったかも・・ですね。
現在は誰にも絶対負けないジョコビッチに戻りそうな気配はあるものの、
まだジョコロボには変身していないという前提で、先のコメントは書きました。考えが甘かったかもしれませんが・・・。
ジョコビッチ選手があの絶対負けないジョコロボに返信してしまったら
やはりゾーンに入ったフェデラーかナダルしか勝てないでしょうね。
でも、全仏でその彼を倒したバブリンカ選手が居ましたね。
次こそは連敗脱出できるよう祈ってます。
ジョコロボに変身し始めてしまいましたね。
でも今回決勝でのズベレフのプレーを見て、これは凄い・・・と思いました。
後は彼がGSでも勝ち上がれるかどうかで評価は変わってきますが。
錦織はこの若手の波を押し分けてTOPに返り咲き、なんとかBIGタイトルを掴んで欲しいですよね。
昨日のコーリー戦が見れなかった中、皆さまの賞賛の嵐が凄かったので「どんな感じだったのかなぁ?」って思いながらのジョコビッチ戦の第1セットでしたから「なるほど・・・こんな感じだったのか(・_・;」って感じました。
1試合では個人的ベストだと思っている、14年マドリードのナダル戦を超えたと感じた第1セットでしたから。
続きがある様なので、楽しみにしています。
ゆうたさん、
ジョコビッチ戦の第1セットの方が、断然凄かったですよ!特にフォアが。
コーリー戦はそこまでの武器を出さずに勝ったという感じだったと思います。
続きはもう少しお待ちくださいw。
ジョコさんが圭くんの上位互換だというのは結構前から言われていましたよね。ただその上位の大部分は体格差だと思います。リーチの長さはいかんともしがたいです。しかし、ジョコさんが持っていない武器もありますよね。ネットプレーは圭くんの方が断然上手いと思います。中々難しいかもしれませんが前に出る事をして欲しいです。
私的には残念だけどそこまで悔しさは感じません。むしろこれからが本当に楽しみです。
youkoさん、
私も今回は前回のマドリードとは正反対な気持ちになりました。
負けたことは残念でも、双方が全て出し切った上での敗退。次が楽しみですね。
上位互換の差は、私はジョコのミスの少なさ、大事なポイントを取り切る力かな~と思っています。全てが少しずつ錦織より安定していて上手いと思います。
全仏が面白くなりそうです。
ジョコさんは 圭くんの テニスの天性の才能をすでに認めていて、だからこそ 圭くんとのゲームは物凄い集中力で挑んで来る……
彼のかもし出す勝利への気迫はその表れなんですね!
ジョコさんをそこまでに 追い込む圭くんはやはり 想像以上の天才テニスプレイヤーなんだ!
そんなに圭くんを応答出来る事
すごく幸せです!
どうか手首も無事にケガもせずに
コートに立てますように!
まりこさん、
>ジョコさんは 圭くんの テニスの天性の才能をすでに認めていて、だからこそ 圭くんとのゲームは物凄い集中力で挑んで来る……
本当にそうだと思います。
更に同じタイプの選手に負けたくない、というのもあるかもしれません。全米での敗退もジョコビッチの心に火をつけたと思われます。
身体が一番大事です。ヘルシーであれば今回のようなプレーをこの先何度も見ることができるでしょうし、きっと大きな大会で勝てる日が来ると信じています。