全仏オープン11日目の準々決勝の試合が行われ、
アンディ・マレー def. 錦織圭 2-6, 6-1, 7-6(0), 6-1
のスコアで残念ながら、錦織圭は負けてしまいました。
何と表現すればよいのかわかりません。
非常に残念な敗戦でした。
でも勝つチャンスは確実にあったと思います。
それをつかめなかったのは、BIG4にして現世界No.1のマレーの力なのか、大事なところでの錦織のミスの多さに由来するのか、その両方なのか。
どちらにしても結果は結果。勝ちは勝ちで負けは負け。
プロスポーツ選手にとっては結果が全てですから、これが今の錦織の実力なんだと思います。
錦織はグランドスラムを優勝する力は確実に持っていると思います。
でも、それをコンスタントに発揮できるBIG4やバブリンカのレベルには未だ達していない、ということなんだと思います。
試合の振り返り
素晴らしすぎた第1セット
第1セットの錦織は、素晴らしい立ち上がりでした。
最初から集中していて、今までの試合とは別人かと思うほどの出来でしたね。
打つショット打つショットが全て正確で美しく、見ている誰もがため息をつくようなプレーだったと思います。
以下は昨日の公式ページの第一セット終了時のlive Blogでのつぶやきです。
He’s a delight to watch. He’s playing up in the court, moving well and controlling the rallies.
Murray 2-6 Nishikori
Nishikori has Murray in knots. The Brit almost pulled off a 360-degree shot in the last game, but Nishikori’s level is such that he needs to produce something special here. The No.8 seed serves out with ease, capping off a stunning set, by far his best of the tournament. Maybe *the* best of set tennis we’ve seen full stop?
以下超意訳です(大事なとこだけ訳したので突っ込まないでくださいw)
”見ていて楽しい!錦織がコートの中で躍動してます。動きも良いし、ラリーを全てコントロールしています。
錦織はマレーを神経質にさせています。錦織はここで必要なスペシャルなプレーをしている。サーブは楽に打ってるし、圧倒するような出来でこのセットを締めくくりました。ここまではこの大会での彼の一番のプレーじゃないでしょうか?もしかしたら、今まで見た中で一番かも?
スタッツもファーストサーブの確率こそ55%といまいちでしたが、入ったときのポイント確率が92%とものすごい数字、どれだけ彼が試合をコントロールしていたかがわかります。
ウィナーが10本でアンフォーストエラーが6本というこちらも理想的な数字。
本当に全てが素晴らしく、美しいテニスでした。
でもその分、後でレベルが落ちることも予想はしていました。
5セットマッチですから、この調子が3セットずっと続くとは思えません。それは錦織もわかっていたと思います。同じようなことは過去にも何回もありました。
ロンドン五輪のときのフェレール戦もそうでした。「最初のセットがすごく良かっただけに、落ちるのはわかっていた」と錦織本人がインタビューで答えていましたね。
その時は逆転して勝ちましたが、今回の相手はフェレールではなく、マレーです。
そんなに簡単に勝たせてもらえないことは、わかっていたと思います。
それでも、第2セットの落とし方が良くなかったと思います。
淡白に落とした第2セット
序盤はまだ第1セットの錦織の調子のまま、良いペースだったと思います。
起点になったのは、やはり1-1で迎えたマレーのサービスゲームでのデュースの場面でのマレーに対するタイムバイオレーションだと思います。
これが2回目のウォーニングということでセカンドサービスになってしまいました。マレーはすかさず審判に抗議に行きますが、もちろん抗議は認められません。でもこれでマレーの心に火が付きます。
”Let’s go!”と大きな声で自分を鼓舞しながら、渾身のサーブを打ち込み、結局キープに成功します。
すると今度は突然、錦織にミスが出始めます。
逆にマレーは先ほどとはうって変わって、プレーのレベルが上がっていきました。落ち着いて安定したショットを打ち始め、ショットも深く、ミスが少なくなっていきます。
反対に錦織の動きは悪くなり、ショットの精度が落ちていきました。
そうして、あっという間に6-1で第2セットを取られてしまいました。
第2セットのスタッツは第1セットと比べたら信じられないようなものでした。
ファーストサーブの確率がなんと27%!入ったときの確率も25%という、ある意味めったに見られないような低い数字です。これで勝てるわけはありません。
ウィナーも8本に対してアンフォーストエラーが13本と、淡白なテニスでセットを落としたことがスタッツを見るだけで想像できます。
30分ちょっとでこのセットを落としてしまいました。
悔やまれるタイブレークの第3セット~第4セット
第3セットに入ると、錦織はもう一度プレーの質を上げていきます。
マレーもこの日はアップダウンが激しく、ダブルフォルトを連発したり、ドロップショットをネットにかけたり、隙はけっこうあったと思います。
にもかかわらず、錦織もなかなかその隙に付け入ることができず、決めに行ったショットをネットにかけたり、フォアハンドを大きく外したりと、どうにも集中力があがってきません。
それでも随所に粘りあり、ダウンザラインあり、神がかったドロップショット✨ありと、お互いにブレイクし合うシーソーゲームになりました。
5-5で迎えた錦織のサービスゲームをマレーにブレイクされ、5-6のマレーのSFS(サービングフォーセット)の場面で、見事にブレイクバックして、力強くガッツポーズまでした(陣営もみんな立ち上がってガッツポーズ!)時は、
「このセットいける!!」と思いましたが、
タイブレークに入ると、錦織はいきなり自分のサーブで狙ったフォアハンドウィナーを大きく外すミスで落とし、その後もDF(ダブルフォルト)を含むミスを連発・・・。
最後はマレーのサーブをネットにかけ、なんと、0ー7でタイブレを落としてしまいます。
錦織はラケットを投げつけてしまいました。
これで第3セット終了です。
このタイブレークが本当に痛かったです。
第4セットに入ると、錦織も何とか食らいついて挽回を図りますが、さすがにそこは世界No.1のマレー。全くレベルが落ちません。第1ゲームでは錦織がマレーのサービスをブレイクしますが、すぐにマレーがブレイクバック。
やはり何年も同じような状況でBIG3達と戦ってきた経験値が違います。何度も自分を奮い立たせ、気持ちを盛り上げ、あきらめることなく、勝利を狙っていました。
錦織も何度も良いショットを放つなど、頑張っていましたが、疲れが足に出てきたのか、徐々に動きが悪くなり、最後の締めのショットが決まりません。
結局その後ゲームをキープすることなく、ゲームセット。
試合終了です。
錦織の2017年の全仏はベスト8で終わりました。
敗因と錦織の今後の課題
*実際の敗因は、本人とチームにしかわからないことだと思いますので、これから書くことは私個人の感想にすぎないということを先に言って(書いて)おきます。
結局は「大事な場面でのミス」と「攻め急いでのミス」で大事なポイントを取り切れなかったこと。自分のミスで相手にポイントをあげてしまったこと。そのせいで、相手を楽させてしまったことではないかと思います。
以前から指摘されていたところが、また出てしまったのが敗因の一つではないかと思います。
そこさえなければ、ストレートで勝つことも可能だったかもしれない・・・と思いました。
それと同時に、やはりグランドスラムで勝ち上がることの難しさや、BIG4でNo.1でもあるマレーの強さを改めて感じさせられた試合でした。
もう一つ、原因を探すとすれば、やはり今年に入ってから怪我に悩まされ続けて思うような練習ができてないこと、それによる体力不足?と試合勘の不足もあるのかもしれません。
プライベートになにか問題があるような憶測もされていますが、正確な情報がない限り、わからないことなので、そこは現時点では触れないことにしようと思います。
ただ唯一、良かったことは、錦織のプレーに怪我の影響は見られなかったことです。
それだけは本当に良かったです。
今後、この課題をどのように克服していくのかわかりませんが、もう一度基本に立ち返って欲しいです。マレーも淡々と同じ練習をすることで調子を取り戻したと言ってましたしね。
でも去年のローマや、いくつかの大会ではできていたことなので、やはり問題は体の不安とメンタルなのでしょうか?
今後も見守っていきたいと思います。
松岡修造さんの解説について
申し訳ないですが、彼の解説はちょっと苦手です。(あくまでも私個人の意見です)
技術解説は素晴らしいと思うのですが、それを凌駕するほどの感情論とネガティブな発言があまりに多くて、聞いていると気持ちが沈んでしまいます。試合中の彼の感情のアップダウンがあり過ぎて、それに振り回されてしまうので、もう少し客観的になってもらいたいんですが、あれが彼のキャラクターなのでしょうがないんでしょうね。
ドロップショットがいけなかったと再三言ってましたが、成功していれば「あれがマレーの気持ちのとどめを刺しましたね」とか言う話になると思うので、まあ、結果論ですよね。
ジョコビッチも以前は下手だったドロップショットを繰り返し試合で使い、当時は散々「何で使うんだ」とか柳さんとかに言われていましたが、今では絶妙なドロップを大事なところで打てるようになり、彼の大きな武器の一つになりました。
マレーも今回の試合の中でも何回もやってましたね。でも最終的には試合に勝利しました。こういう試合の中で使っていくからこそ、後の試合で成功の繋がるんだと思います。
私の中では、修造さんはやはり応援団長という立ち位置がちょうどよい気がします。
あくまでも私の気持ちなので、彼自身を嫌いなわけではありませんm(__)m。解説者としては、好みではないというだけの話です。
個人的には、解説を聞くなら辻野隆三さんとか、なにげに茶園哲也さんの解説も落ち着いたトーンで好きですね。WOWOWさん、たまには日替わりで違う方に解説を頼んでみるのはいかがでしょう?w
結局残ったのはマレー、ナダル、バブリンカ、ティーム
ジョコビッチは・・・どこ行っちゃったんでしょうね・・・。
もちろんティームが強かったことは間違いないと思うのですが、それでも去年までの鬼のように強い、マシンのように正確で疲れを見せないジョコビッチはどこにもいませんでした。
時間がかかっても以前の彼に戻ってきて欲しいです。
カレーニョ・ブスタは残念でした。やはりグランドスラムで勝ち残ることの過酷さを物語っていますね。ナダルは少し休養出来て、次のティーム戦に備えられたのではないでしょうか?
スタンは、スコアしか見ていませんが、チリッチ相手に完ぺきだったようです。直前の大会で優勝してすぐ全仏だったのに、やはり、只者じゃありません。
マレーとバブリンカ・・・クレーではバブリンカの方が優位な気がします。
私の希望としては、決勝はナダルとバブリンカで、ナダルに優勝してもらいたいですね。
まだ全仏は続きますが、とりあえず錦織選手、お疲れさまでした。
少し休んで体と心のメンテをしてもらいたいです。
皆様も応援お疲れさまでした。
ところで、頭を切り替えるには、好きな音楽を聴くのも良いですよね。
ここで私の好きな歌手と映像をご紹介。
エド・シーランは私のお気に入りの歌手の一人です。
さらにこのジェームス・コーデンの
「カープール・カラオケ」
も大好き。
アメリカのTVショーの「レイト・レイト・ショー」の中の企画なんですが、以前はAXNで放送してましたが、最近はやってないので、youtube頼りです。
車の中で、本人と一緒にカラオケしまくるとか、なんという贅沢!❤
でも、実はジェームズ・コーデンもトニー賞を受賞するほどの素晴らしい歌声の持ち主。
必見ですよ!
アデルバージョンもすごく良かったな~。
よろしければどうぞ。
*URLをクリックするとYoutubeで見れます。
Yuriでした。
コメント
ベーグルとギアを上げるの件、お礼遅れましてすみませんでした。
ベーグルは世界共通のようですが、ギアを上げるは違うみたいですねえ。
レベルを上げる、の方が断然良い。記事でも使われてましたね。
みんな、言い方を変えるべきです!
錦織選手がインタビューで使ってくれたら一気に広まるのでしょうけど。
ちなみに、一時ラリーやバイク(自転車)に凝っていた時期があるので、
ギアを上げる=スピードを増す、というイメージしかなく、
テニスで使うには違和感を感じていました。
確かに、良いプレーがどんどん出てくるということを意味しているとも言えますが、
ギアは上げたり下げたりしながらスピード低下を最小限に抑えてカーブや坂を走り、
ときにはギアを下げて一気に加速して他者を追い抜く、なんてこともあります。
テニスで言うなら、ウィナーやスマッシュだけでなく、ロブやドロップショットも織り交ぜてポイントを稼いでグングンとゲーム差を広げていくという感じでしょうか。
だからといって、「ギアを下げての絶妙なドロップショットでした」というのもヘンだし。
やっぱり、レベルを上げる、や、プレーの質を上げる(これも記事で使われてました)の方が的確です。
ギアを上げる、の件は、鼻血さんの方に書こうかと思ったこともあったのですが、あちらは話題の展開がつかみづらいので書くタイミングが難しく、書いたとたんに別スレが立ち上がっていたりもするので、こちらに長々と書かせていただきました。おじゃましました。
おっと、言い忘れていましたが、錦織選手、残念でした。
2セット3ゲームまで観ていて、もしブレークしたら寝ずに仕事行くつもりでした。
3-0で勝つと思ったので。でもキープされ試合が長引きそうで寝ました。
敗因などは多くの方々の意見とあまり変わらないので、
今回は鼻血さんには寄らずにこちらだけにしておきます。
確かに!
もう聞き慣れちゃって違和感を感じなくなってましたが、
ギアをあげるのは、スピードアップするというイメージですよね~本来は。
誰かが言い始めたんでしょうね、きっと。
ギアを下げた方が、パワーは出ますもんね~。
セカンドに入れて一気に加速、とか。あんまり使うと焼きついちゃいますがw。
(今はオートマに乗ってますが、元々は車のマニュアル運転好きなので。)
う~ん面白いです。
こんばんは。
鼻血さんの所にコメントもしたのですが、今回は自分の身体の状態を把握して最初の2セットを取って、後の3セットの内どこかで1セットを取ればいいという気持ちで臨んだのかなと思います。
全仏前の状態を考えれば上出来と思います。
試合後はすっきりとした顔をしていたように感じました。
修造さんに関してはyuriさんに全く同意です。
そうなんですよね~。全仏前の状態から考えたら上出来なんです。
それでもあの第1セットを見たら、勝利を期待せずにはいられませんでした。
でも昨日の試合ではどこも痛くなさそうで良かったですよね。
勝っても負けても錦織くん❗️です
アプリのビデオレターによると一旦フロリダに帰るって言ってましたね
ナダルも負けると直ぐにマヨルカに帰ってリフレッシュするみたいだけど、錦織くんもリフレッシュしてまたウィンブルドン 今年こそベスト8若しくはそれ以上❗️狙ってほしいものです
私も錦織くんがいない今全仏はナダルに優勝してほしいです
通算10回目の優勝超希望します
でも、ティーム こわいこわい
本当にリフレッシュしてもらいたいですよね。
わかります。
ここ数年、ジョコの壁とか怪我とか、今年に入ったらロジャーの壁とかで苦しんだラファに、10回目の優勝してほしいです!
ティーム怖いですね。
でも、5セットだしナダルが勝つ予感がします。
残念、としか言い様がないです! マレーが憎らしくなりました。
このうっ憤が、松岡修造やUNIQLO に向かっているのが チョット面白い気がしますが〜
私も松岡の解説 苦手、UNIQLOも 好きではないです。
あぁ〜この喪失感から立ち直らなきゃ〜 yuriさんは上手に切り替えられてそうですね。
でも、私達をこんなにワクワクさせてくれた、錦織君に感謝ですね〜よく頑張ってくれた!
WB 誰か上位の選手、棄権してくれないかな〜
全然切り替えられてないですよ~w。
とにかく、映画でも見て、音楽でも聴いて、気を紛らわさないと!
勝つチャンスいっぱいあったのになあ~・・・。あ、また回想しちゃってる。
今年はファンにとって我慢の一年かもしれませんね。
変なとこまでジョコの真似しなくていいんだからね!
Come back~!
残念でした・・・・。
試合後半、打っても打っても拾ってくるマレー選手は凄い!
あれでは心が折れてしまいます。
WBは第9シード濃厚ですかね、すると4回戦でフェデラー、ラオニッチ、ティエム、チリッチの誰かと当たる・・・・いやー誰が来ても厳しい。
しっかり体をケアして、また我々を寝不足にさせていただきたいです。( *´艸`)
応援お疲れさまでした。
本当に残念でした~。
さすがはBIG4,さすがはNo.1ですよね。
でも、錦織もあの第1セットができれば本当に誰にでも勝てるんですが、
それを5セット続ける集中力を身に着けることがさらに上に行くには必要なんだと思いました。
まずはゆっくり休んで欲しいですね。
私たちも休まないと!w